科学工作クラブでの嫌だった思い出(>_<)
小学校四年生の時のクラブ活動。
科学工作クラブ。
その日の内容は、キラキラしたキレイなビー玉を作るというもの。
ビー玉を熱してから水の中に入れるとヒビが入ってキレイなのです。
みんなわくわくしながら自分のビー玉を熱していたし、私も楽しみにしていた。
一度やってみて、熱する時間が短いとヒビがキレイに入らないことが分かり、みんな早く水の中に入れてみたいけどキレイなビー玉を作るために我慢していた。
その時、下級生が教室に入ってきた。
クラブ活動の見学らしい。
そして、先生が言う。
「誰か、ビー玉にヒビが入るところ見せたり~」
班のメンバー全員が嫌がった。
全員、今水の中に入れたところでヒビがキレイに入らないのが分かっているからだ。
みんな顔を見合わせて、誰がビー玉を出すのか視線で探り合っている。
そして口々に言う。
「俺、嫌やで」
「お前いけよ」
「いや、無理やって」
「俺まだ全然熱してへんで」
「今入れたって無理やん」
みんな自分のビー玉を守りたいんだ。
それは私も同じ。今熱し始めたところなんだから、絶対にキレイなヒビは入らない。
そして一人の男子が言う。
「ほら、どんぐり子さん」
「どんぐり子さん、はやく入れやんな」
「どんぐり子さん、待ってんで」
そうやって、私にビー玉を入れるよう急かしてくる。
確かに、みんな待っている。
ここで熱しきるまで見学者を待たせるわけにはいかないし、ビー玉にヒビが入る瞬間は見どころだから、やらずに見学が終わるというのもなしなのだろう。
でも私だって自分のビー玉を無駄にしたくない。
でも、誰かがやらなきゃ先に進まない。
仕方なく自分のビー玉を入れた。

案の定、細かな輝かしいヒビは入らずに、大きな亀裂が少し入っただけ。
全然キレイじゃない。失敗作。がっかり。
私のビー玉が犠牲になった。
すごく哀しかった。
そして、誰からも「ありがとう」はない。
「ありがとう!お前のおかげで俺のビー玉犠牲にならずにすんだわ!」
そんな声が、私ではなく、私にビー玉を入れるよう急かした男子に口々に向けられた。
「さすがやな」とか褒められている男子。
なんだろう、これ。
科学工作クラブって圧倒的に男子が多くて、友達はいない。
班のメンバーも自分以外は全員男子だったと思う。
その後、黙々と作業を続け、残ったビー玉は何とかキレイに仕上がった。
でも、なんだな嫌な感じが胸の奥でモヤモヤとしていた。
今だったら、なんぼでもビー玉入れたるわ。
全然ヒビ入らんけどいい?って聞いて、熱している時間が短いとこうなんねん~って失敗作の作り方の説明みたいな感じで。
それか、先生に今は無理って説明するわ。
何にしろ、ビー玉がキレイに出来ようが失敗しようが何だって構わない。
今は別に興味がないし、どうしてもやらなきゃいけないんだったら、家に帰ってからでもなんぼでも出来る。いつでも出来る。特別なことじゃない。
でも、あの頃は違った。
あの時は、キラキラしたビー玉が特別で、わくわくで、ドキドキで。
その感動を、楽しみを、奪われた感覚がまだ残っている。
なんで私がやらなあかんかってんやろって思うけど、空気を読んでしまったけど、実際に自分の手で自分のビー玉を犠牲にしてしまったけど……
犠牲になったのはビー玉じゃなくて、私なんだよなぁ。
成功したビー玉がみんなより一つ少ない。
あげようと思っていた人に渡せない。
大人になった今ではたかがビー玉だけど、10歳だったら宝石みたいなもんだったな。
そんな思い出話をモラハラ夫にしたことがある。
もうこれは完全に話す相手を間違えているんだけど、当時はまだモラハラって理解してなかったから、傷口に塩を塗り込んでくる相手に話してしまった。
「それは~どんぐり子ちゃんが悪いよ」
「まず、ターゲットにならないように振る舞わなかったのが悪い」
「はっきりと断らなかったのが悪い」
まぁ、ちゃんとノーと言えなかった私のせいではあるんだけど、でも共感してもらえないってしんどいんだよなぁ。
モラハラ夫から見れば、全て自己責任。
確かに、男子が多数の科学工作クラブに入ったのも私だし、先生に今は出来ないって言ったり別の班のいい感じに熱している班に変わってもらったりしなかったし(当時はそんな発想なかった)周りの空気に負けてビー玉を入れたのは私の手。
私が私の意思でビー玉を入れたんだから文句を言う資格はない。
それまでにどんな会話があろうと、実行したのは自分なんだから自己責任。
嫌ならやらなきゃいいのに。
それが出来なかったのに被害者面するなって、いつものお説教。
なんか、そう言われると、いつまでも昔のことを引きずって根に持っている自分みたいな、全部自分が間違っていたみたいな、そんな気になってきちゃうんですよね……。
結婚生活では「自分が悪いクセに被害者面するな」ってモラハラ夫から説教みたいなのが色々あったけど、本当に私はダメな人間だったらしい。
可哀想なのは自分のビー玉を犠牲にしてしまった私じゃなくて、そんな些細なことをいつまでも根に持たれている男子達なの?
モラハラ夫と一緒にいると、どう頑張っても私は可哀想じゃないし大変じゃない。
とてつもなく楽をして周りに迷惑をかけて精神的に幼稚で社会的に未熟。
そう扱われるうちに、自分が間違っているのかな……と思うようになってしまう。
ノーと言えなかった自分ってのがいるから、そこを指摘されると、自分が悪かったんだって方向に向いてしまう。
思い出の中の自分すら責めなくてもいいのにねぇ。
息子も工作とか図工系のクラブにするつもりのようだけど、楽しめるといいな。