保育園へ娘を迎えに行き、娘を車に乗せるときに娘が怖い話をした。
「お母さんが本物のお母さんじゃなかったらどうする?」
「本当のお母さんはオバケに食べられちゃって、今迎えにきたお母さんはオバケが化けてる偽物やねん」
「娘ちゃん、迎えにきたよ♪って言って一緒に帰るけど、車に乗ったらお母さんじゃなくてオバケで、車の中で私のこと食べちゃうねんで」
「そのまま家まで帰って、お母さんのふりして家の中に入って、にぃにのことも食べてしまうねんで」
「そうなったらめっちゃ怖いな!」
めっちゃ怖いわ。
どこでそんな話を仕入れてくるのだろう?
そう聞けば、「今考えてんで」って言う。
子どもの想像力は豊かだなぁ。
私も子どもの頃、もし○○だったら……みたいなことを色々想像して怖がっていた。
父親の運転する車に乗って家族で出かける時、トンネルに入るといつも想像していた。
このトンネルを抜けると、自分以外の家族が別人になっていたらどうしようって。
見た目は変わらないけど、中身は別世界の人間で、何食わぬ顔で今まで通り過ごすけど、本当の家族とは離れ離れになっている……とか。
他にも、今普通に暮らしているこの世界が実は夢で、夢だと思っている世界が現実だった……とか。
勝手に想像して怖くなる。
夜寝る時は布団から手足が出ていると誰かに持っていかれそうで、怖くて顔以外は布団の外に出さないようにして寝ていた。
大きくなるにつれ、だんだんとそんな想像もしなくなったけど、昔一人暮らしをしていた時は、一人で生活していけるかっていう不安もあったけど、オバケ怖いみたいな気持ちもあって、我ながら幼かったなぁ。
子ども達は夜寝る時、「扉を閉めて!」って必ず言う。
理由は「怖いから」「誰か入ってきそうな気がするから」だそう。
夏の暑い日で、クーラーじゃなくて扇風機で涼をとっている日なんかは、扉を開けておかないと暑くて眠れないのに。
でも、なんだか私も子どもの頃は夜が怖かったことを思い出すと、子ども達につられて怖くなってしまった。
扉は閉めておかないと、誰かが入ってきそうで怖い。
昔、金縛りにあった時のことを思い出した。
私が眠っている部屋の扉がスーッと開いて、ゆっくりと見知らぬ老婆が入ってくる。
徐々に徐々に近づいてくる。
着物を着た身長の低い老婆が静かにゆっくりと枕元にくる恐怖はなかなかのものだった。
もう二度とあんな目にあいたくない。
子どもの頃に比べたらマシになったけど、もともと私は怖がりな性格なんだな。
娘が色々想像するのも、私の子だからかな。